SD法(Semantic Differential Method)とは,「よい」「わるい」,「速い」「遅い」というように,対となる形容詞を両極にとり,その間をスケール化したもので,イメージ調査などに利用されます.
言語による尺度を用いてある概念の構造を定量的に明らかにするための実験手法として心理学や官能評価の分野などで用いられてきましたが,現在では建築計画や商品開発,アンケート調査の分野においても,評価手法として広く用いられています.通常,調査は評価に当たる言語を5段階や7段階の評価尺度(レベル)でユーザーに提示し,感じたままのレベルを選択してもらう形で行います.
SD法の手法のメリットは,定性的な情報を容易に定量化できる点にあると言われています.情報量が大量であるほど,そのデータによる結果の信頼性は高くなります.また,データは目的によって様々な統計分析(主成分分析や因子分析など)にかけることが可能であるため,データ間の相関関係を見るなど多角的な分析収集ができます.
2種類のコーヒーAとBの味について,アンケートをおこないました.質問はQ1~Q3の3問あり,アンケートに答えるパネラー(評価者)は10名います.
図1. コーヒーの味に関するアンケート
とられたアンケートデータをワークシートに入力します.
縦方向にパネラー(パネラー1~10),横方向に評価項目(Q1~Q3)を並べます.
2,3,4列目にコーヒーAの評点を,5,6,7列目にコーヒーBの評点を入力します.8列目と9列目には各パネラーの属性情報(性別と年代)を質的変数として入力します.10列目にはQ1の比較名称(甘い,甘くない)とQ2の比較名称(苦い,苦くない),Q3の比較名称(濃い,薄い)をサンプル名として入力します.
図2. データの入力
図3. 入力形式の選択
メニューバーから[手法]-[調査分析]-[SD法(SDプロファイル)]を起動します.
「入力形式の選択」ダイアログが表示されますので,評価対象を横方向に入力しているか,縦方向に入力しているかを指定します.
ここでは評価対象コーヒーAとコーヒーBに関する評点を横方向に並べて入力しているので,「評価対象を横方向に入力」を選択します.
変数の指定画面でサンプル名の「比較名称」,量的変数の全変数,質的変数の全変数を指定します.
図4. 変数の指定
「評価対象数の入力」ダイアログが表示されますので,評価対象の数を入力します.
ここでは評価対象はコーヒーAとコーヒーBの2つなので,2と半角数字で入力し,「次へ」ボタンを押します.
図5. 評価対象数の入力
パラメータ設定のダイアログが表示されますので,SDプロファイルの設定を確認します.
評価対象名は初期設定では「対象1」と「対象2」になっていますが,これを「コーヒーA」と「コーヒーB」に変更します.評価項目Q1,Q2,Q3の比較名称は「甘い-甘くない」,「苦い-苦くない」,「濃い-薄い」となっており正しく設定されているようです.
評価尺度は,評価尺度数が5(最小値が1,最大値が5)となっており正しく設定されています.SDプロファイルでの評価尺度の並べ方は,左に最大値,右に最小値をとりたい場合は「左が大きい」と設定します.
SDプロファイルが表示されます.
初期設定では評価対象が「対象1(ここではコーヒーA)」,属性が「全て」,代表尺度が「平均値」となっており,コーヒーAについての評価項目Q1,Q2,Q3の平均値がプロットされています(属性を「全て」としているので評価者の属性での層別はされていません).
画面上のコンボボックス「評価対象」と「属性」,「代表尺度」で,SDプロファイルに表示する項目を変更できます.
※ 「画面はJUSE-StatWorks/V4.0のものです」
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