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第25話 先生の授業計画と学生の学習計画 シラバスの一例(六一学者の千字一話)
吉澤正先生御逝去に寄せて
作成日 2003年4月14日
改訂日
作成者 吉澤 正
配布対象 受講学生
書類番号 TKY0002
学習計画作成ガイドライン
1. 必要な項目
以下の項目を含めることが望ましい.
- 標題,対象期間,科目名,担当教官名,作成日付,改訂日付,学籍番号,お名前
- テーマ,問題意識の説明
- 目標,目標達成のための方策,工程表
- 友人のネットワーク
2. 書き方について
(1) 標題など.
○○○における学習計画とし,○○○には「科目名」をいれる.
対象期間は,前期と後期,あるいは年間の区別を明示すること.
計画は改訂することも重要であり,改定日を記入できるようにしておく.
(2) テーマなど.
例えば,“○○”についての統計的・経済的・環境ビジネス的考察とするとよい.○○のところに自分の関心があり,科目の学習進度に合わせて学習できるような事柄をいれる.例えば,産業廃棄物,ごみ,自動車,本など.
問題意識の説明は,テーマについて,どのような関心があるか,どのような興味があるか,どのような問題意識があるか,書いてみるとよい.
(3) 目標など.
績,読破する図書の件数,授業中の発言回数,レポート提出率,出席率,定時入室率,集中度目標達成率,快答率,快レポート率などを目標の項目とするとよい.
目標達成のための方策は, 読破する図書の名称や日程的目標,学習のための技術の習得に関する方法(エクセルの学習など)などを記入するとよい.
工程表は,目標達成のための日程と目標とする指標の測定計画などを記入するとよい.
(4) 友人のネットワーク
欠席したときなどに配布資料をコピーさせてもらえるネットワークをもつとよい.
帝京大学経済学部環境ビジネス学科講義シラバス(2003年度) 吉澤 正
2年次 情報処理演習B(データ処理) 吉澤 正 選択 4単位
1. 授業の目的(Course Aims)
統計的考え方(Statistical Thinking)の基本を身につけることを目的とする.統計的考え方,統計的方法,データ処理の考え方と技法は社会に出てからも大変役に立つ.
データの観察・実験・調査ならびにデータ処理を体験することによって,確率・統計・データ解析の基本的な概念とデータ処理の基礎を1歩づつ学習し,理解することを目指す.具体的には,確率分布,度数表とヒストグラム,平均,分散・標準偏差,層別の考え方を徹底的に学習する.
授業では,学生も学期ごとのテーマを考えて授業計画(シラバス)に対応する学習計画を立て,ただ講義を聞くだけでなく,頭も手も足も使って,工作したり実験したり調査したり考察したり発表したり報告したりして,授業に参加することが必要.毎週少しずつ学習することが大切である.基礎をしっかり身に付けよう.スポーツと同じで基礎を繰り返し練習ことが大切.
2. 成績評価方法(Grade)
演習課題に対するレポート(2週に1回程度で短く簡単なもの),期末テストと教室での参加度による.レポートのウェイトが高い(6割程度).
3. テキスト・参考文献(Texts)
- テキスト:森口繁一『統計的方法』改訂版,日本規格協会,1968.
- 参考ウェブサイト:六一学者の千字一話,官庁統計速報ほか
- 参考雑誌:統計(日本統計協会発行),統計情報(全国統計連合発行)など.
4. 関連科目(Related Subjects)
データ処理と数値分析
5. 学生への要望・その他(Request to Students: Others)
第1回・第2回の授業は,全体の学習計画を立てるために大変重要.
普段,欠席したときに,配布資料をコピーさせてもらったり,次の宿題について教えてもらえる友達を作っておくこと(学習計画に記入すること).
6. 授業の計画(Syllabus)
- 第1回
- 授業計画を理解する.受講者は,次回までに「○○を統計的・経済的・環境ビジネス的に学習する」というテーマを設定し,学習計画を立てる.
- 第2回
- 学習計画を検討する.他の人の計画を聞いて参考にし,計画を固めて,次回に提出する.テーマに関連する調査統計(官庁統計など)を調べる.あるいは.観察によってデータを集める.(次週までに第1回レポート提出)
- 第3回
- 統計表とデータを検討する.各自がテーマに関連する統計またはデータを持参して説明する.データをどのようにグラフ化できるかなど検討する.データの背景となる社会の状況と調査の対象となっている母集団を考える.
- 第4回
- 母集団の仮想モデルを工作する.例.対象の名前などを書いたチップを作り,袋に入れる.サンプリングができるように考える.対象の量的な情報を付加する.(第2回レポート)
- 第5回
- いろいろな分布を観察し,幹葉表示を習う.自分のテーマに関連する経済・社会・産業・日常生活のデータから幹葉表示を作成する.5数要約(最小値,下側4分位値,中央値,上側4分位値,最大値),箱ひげ図を習う.
- 第6回
- サンプリングを実施し,平均を習う.サンプリングしたデータを記録し,幹葉表示を作成し,度数表とヒストグラムについて習い,演習を行う.箱ひげ図とヒストグラムを比較する.(第3回レポート)
- 第7回
- サイコロ実験によって確率を考える.サイコロを教材に,確率分布を習う.期待値について学習する.サイコロ投げの記録をエクセル及び手処理で処理する.カウントの仕方について習う.
- 第8回
- サイコロ実験を続ける.サイコロ2個の目の合計の分布について習う.実験結果を記録し観察する.(第4回レポート)
- 第9回
- チップ実験の道具を作る.独自のアイデアで確率統計実験を行える装置を試作し評価する.例えば,母集団の仮想モデルを具体的な装置で実現しサンプリングできるようにする.
- 第10回
- 確率統計実験装置を改善する.実験データをとり,データの処理を行う.(第5回レポート)
- 第11回
- 平均値について考える.算術平均,重みつき平均,度数表での平均,仮平均,幾何平均などについて学習する.世の中の平均いろいろ,平均所得,日経平均株価などを考える.
- 第12回
- 外れ値について学ぶ.外れ値とは何か,外れ値の平均値へ影響,平均値と中央値との違いなどを学ぶ.(第6回レポート)
- 第13回
- 前期のまとめを行う.(第7回レポート:前期のまとめ)
- 第14回
- 後期の始めとして,前期の復習を行う.後期の学習計画を立てる.
- 第15回
- 簡単なアンケート調査について学ぶ.属性データ,層別因子について学ぶ.アンケート調査を設計し,実施する.(第8回レポート)
- 第16回
- 単純集計の見方と表示について学ぶ.アンケートデータを使って,単純集計を行い,グラフ表示を行う.1次元の(離散)確率分布と確率変数を学ぶ.
- 第17回
- クロス集計の見方と表示について学ぶ.2次元の確率分布を学ぶ.
層別(条件付)分布について学ぶ.分けて分かる層別の大切さを学ぶ.(第9回レポート)
- 第18回
- 分散と標準偏差を学ぶ.離散確率分布について,期待値,分散,標準偏差の定義と意味を学ぶ.各自のテーマに関連するデータについて分散と標準偏差を計算する.
- 第19回
- 層別のあるデータを学ぶ.層別や群,クラスなどに分けられるデータの処理を学ぶ.層別ヒストグラム,層別平均,層間の差などについて観察し,データを処理する.(第10回レポート)
- 第20回
- 層内変動と層間変動について学ぶ.層(群,あるいはクラスとか組ともいう)に分かれるデータの見方を学ぶ.
- 第21回
- 対数変換について学ぶ.けた違いのデータが混ざっているケースの対数変換を学ぶ.対数関数は,数値を桁数に変換する関数であることを学ぶ.対数値をもとの値に指数変換で戻すことを学ぶ.(第11回レポート)
- 第22回
- 2つの事象しかない現象の分布(2項分布)を学ぶ.2項分布の確率関数の姿,確率の計算,期待値,分散について学ぶ.各自のテーマに関連して2項分布が使えるような現象を探す.
- 第23回
- まれに起こる事象の分布(ポアソン分布)を学ぶ.まれに起こる現象を探して観察する.(第12回レポート)
- 第24回
- 量的変数の確率分布について学ぶ.累積度数図と(累積)分布関数の確率として見方を理解する.分布関数の微分を数値的に体験する.近似的密度関数を理解し,平均値,分散を計算する.グラフ用紙で体験する.
- 第25回
- 正規分布の性質を学ぶ.(第13回レポート)
- 第26回
- 後期のまとめを行う.(第14回レポート:年間のまとめ)
- 第27回
- 年間のまとめを行う.