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第24話 インドサイコロの確率計算(六一学者の千字一話)

吉澤正先生御逝去に寄せて

六一学者の千字一話  六一学者 (吉澤 正氏)
六一学者 - 吉澤 正氏
(第10回JUSEパッケージ活用事例シンポジウムにて)


前回は,5個のサイコロを振ったときの目の和の確率分布が簡単に計算できることを説明した.その確率分布は,きれいな釣鐘形(ベル形)で,正規分布に近いが,目の和の値が,5から30という有限な範囲に限られるので,分布の両端で正規分布とは少し差がある.

もう一つおもしろいことは,サイコロを1個振ったときの目の平均(期待値)は1と6の中間の3.5で,その分散は平均の6分の5になること.計算は省略するが,そこで,nこのサイコロを振ったときの目の和の期待値は3.5n,分散はその6分の5となる.ポアソン分布には平均と分散が等しいという性質があるが,平均と分散の比率を考えておくことは,分布の形の理解に役立つ.サイコロでは,分散は平均の6分の5という覚え方は簡単でしょう.

次に,「インドの双六は双四か」と22話で紹介したインド双六のサイコロは,0,1,2,3の4面で,2つのサイコロを投げて,0,0のときは12と考え,その他は目の和だけ進むというルールであった.

×12345612
f2343211
確率2/163/164/163/162/161/161/16

その平均は,3.75,分散は6.4375である.続けて,2個のインドサイコロを2回,3回,4回と投げたときの目の合計の分布をエクセルで計算したが,その様子は下の図のようになる(図1).サイコロの場合の計算に比べて,2個のインドサイコロでの分布(組合せ数)を基本として,上記の1回のときの組合せ数fを重みにして,ひし形のようにずらしていくようになっている.

確率分布の変化を図で見てみるとおもしろい(図2).左側はすぐにベル形になるが,右側の小さい山はなかなか消えない.


図1 インドサイコロの確率計算の経過(エクセルによる)


2003年3月25日掲載

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