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第12話  新年の吉凶は?(六一学者の千字一話)

吉澤正先生御逝去に寄せて

六一学者の千字一話  六一学者 (吉澤 正氏)
六一学者 - 吉澤 正氏
(第10回JUSEパッケージ活用事例シンポジウムにて)


正月15日,お年玉年賀はがき・年賀切手の当選番号が発表になると,頂いた年賀はがきを整理して当たり具合を調べるのが,筆者にとってこの15年くらい続いた正月行事の一つになっている.たいていは最下位のお年玉切手シールしか当たらないが,毎年20枚から30枚くらい当たる.

岩波書店から1992年に出版した『統計処理』の埋め草(コーヒーブレーク,85頁)に,お年玉年賀切手の当たり具合で新年のめでたさを占う話を書いたが,昭和61年(1986)のデータを使っていた.その当時は5等賞品がお年玉切手シールで,確率は100分の4であった.

いつからか4等賞品がお年玉切手になり,平成13年なら各組共通で下2けたの27,75,77が当りで,その確率は100分の3である.3等は下4けたが7257,9232で当りの確率は1万分の2.筆者は,1等や2等は当たったことはなく,3等もこの15年間に一度当っただけである.しかし,4等はその確率から期待されるよりは良く当たる.もっとも賞品の切手シールはあまり使い道がないので始末に困っているが.

さて,その占い方法は次のような考え方に基づいている.年賀はがきの総枚数をNとすると,4等の当たる期待値はNに当たりの確率3/100を掛けたもので,それをMとしよう.つまり,

M = N * ( 3/100 )

総枚数が100枚なら3枚当たると期待される.実際は当たりが0枚だったり,6枚だったり,ばらつく.当たり枚数の分散は,当たりの確率が小さいのでポアソン分布で近似して,期待値と同じM,その標準偏差は√Mと見なせよう.そこで,次のように占う.

当たり枚数が M以上で M+√M までなら,小吉
当たり枚数が M+√M 以上で M+2√M までなら,中吉
当たり枚数が M+2√M 以上なら,大吉

もし,当たり枚数がMより少なければ,今年は慎重に行動しようと決意する.

最近6年間は,以下のように大変成績がよい.

表12-1 お年玉年賀はがきによる占い
総枚数当たり期待枚数+シグマ+2シグマ判定
20015012015.0318.922.8中吉
20005422016.2620.324.3小吉
19996392319.1723.527.9小吉
19986131318.3922.7273等が当たり大吉
19976143318.4222.727大吉
19965582216.7420.824.9中吉
合計3,467137104.01114.2124.4総合しても大吉

4等が少なかった1998年には3等が当たった.3等は1万分の2の確率なので,4等の150倍の価値があり,その年はもちろん大吉.

筆者は占いをするだけでなく,頂いた年賀はがきの下2けたの00から99までについて枚数の分布を調べている.そして,その度数の頻度表を作成し,データの平均と分散を計算して,それらが近いことを確認し,ポアソン分布で近似できるかどうか観察する.その様子は,次回にお見せしよう.

筆者が子供の頃は,正月6日までが松の内,7日は草粥,10日ごろは鏡開き,15日はあずき粥,そしてお年玉年賀はがきの当りを調べるところまで,正月気分が残っていた.ある年にお年玉年賀はがきの一番下のお年玉であるお年玉切手シールが大量にあたり,その確率が気になって以来,こんな占いを考え出した.

この場をお借りして,年賀状を頂いた方に感謝し,ご返事を出し忘れた方に謝らせて頂きます.皆様,良いお年をお迎え下さい.来年も千字一話が続きますように.JUSEソフトが売れますように.


2001年12月19日掲載

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