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第22話 サイコロゲームで新年を占う(六一学者の千字一話)

吉澤正先生御逝去に寄せて

六一学者の千字一話  六一学者 (吉澤 正氏)
六一学者 - 吉澤 正氏
(第10回JUSEパッケージ活用事例シンポジウムにて)


伝統的な正月遊びの一つに双六がある.東海道五十三次のような番号の付いた道の絵を使って,二つのサイコロを振って出た目の和の分だけコマを進めて,上がりの早さを競う.大井川の渡りに止まると一回休みを取らされたりして,結構おもしろい.しばらく前には人生ゲームがはやったり,最近はパソコンゲームに押されたりで,古い遊びが忘れがちであるが.

昨年の暮れ,インドで手に入れた双六は,ヒンズーの神々が上がりの場所に並び,図柄もインドらしい.今でも人気があるそうだ.クリスマスや正月に我が家でもやってみたが,なかなか楽しかった.横11列,縦12行を掛けた132の枠を番号順に進み,122から132の枠に入ると上がりで,その上にはヒンズーの神様が描いてある.

インド双六は,双六ならぬ4面サイコロを二つ使うもので,そのサイコロは,鉄製の小さい4角柱で上底と下底は使わず柱の面が0,1,2,3になっている(実際は,0は何もマークがなく,1,2,3は普通のサイコロのように点が彫られている).出た目の合計だけ進むルールであるが,出た目がゼロ,ゼロだと12進める.

そのほかにも仕掛けある.いくつかの枠にははしごが懸けられていて,はしごの下の端がある枠に止まるとはしごを上って先の枠に飛べる.例えば,16から28,19から39など,10本のはしごが描かれている.また,いくつかの枠には蛇の頭があり,番号の下がる方にその蛇の尻尾がかかっている.蛇の頭の枠に止まるとその蛇の尻尾の枠に戻らされる.ひどいのでは,106番まで来たと思うとスタートに戻される場合もある.

さらに,他のプレーヤーに追いつかれてちょうど同じ枠に入られると,追いつかれたプレーヤーはスタートの1番に戻らなければならない.こんなところがルールである.

我が家では,ヒンズーの神様の意味は判らないので,122から132番の行に入ってしまえばとにかく上がりとしたが,その下の111から121には4箇所も蛇が待ち構えていてすんなりとは上がらせてくれない.

ところで,0,1,2,3の4面サイコロを二つ振ったときのその目の合計は,0から6の値をとり,すぐわかるように期待値(平均)は3である.しかし,ゼロ,ゼロのときは12と見なすと,期待値は3.75になる.上がりの122まではしごも蛇も関係なく進んだとして,平均的に33回振る必要があり,実際に上がるまでは結構な時間がかかる.

パソコンでシミュレーションすることを考えてみてください.例えば,2個の4面サイコロを2回振ったときに,それぞれの枠にいる確率はどうなるであろうか.ゼロ,ゼロのぞろ目のときに12と見なす例外が計算を面倒にしている.

インド双六をながめていて,いろいろな確率的な問題をおもいついた.普通の6面のサイコロを2個振ったとき,その目の和の分布については多くの教科書で扱われている.これを5個のサイコロに拡張したらどうなるであろうか.ファイヴ・ダイスは別のゲームとして良く知られているが,5個のサイコロを振ると,6の5乗,つまり7776とおりの場合がある.目の合計は,最大が30,最小が5である.

昨年の千字一話12話では,お年玉付き年賀状4等の当たり枚数で新年を占うことをお薦めしたが,今年は,5つのサイコロを使って占ってみよう.5個のサイコロを振って(5個なければ1個のサイコロを5回振って)その和が,

としてはどうでしょう.みなさんもやってみてください.ちなみに,我が家では5人にやってもらったが,一人が大吉,3人が中吉,あと一人が小吉で,好成績でした.

次回は,サイコロ占いの確率分布を考えます.


2003年1月8日掲載

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